世界トップレベル超伝導ホットエレクトロンボロメータ

2THzで世界トップレベルの低雑音・広IF帯域特性を実現。中赤外光領域まで動作可

プレスリリース

2020.09.01.

未開拓のテラヘルツ領域を拓く、高感度・広IF帯域ヘテロダイン受信機を開発

実証実験中

研究者より

独自構造のTHzヘテロダイン検出器は、世界トップレベルの極低雑音温度(約570K@2THz)と広IF帯域幅(6.9GHz)を同時に実現しました。また中赤外光(波長4.57µm)における光子検出にも成功しております。未来の高速・大容量無線通信技術の実現を支える基盤検出技術として、研究・開発を進めています。本技術に関心のある企業や団体との共同研究を希望します。

未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター超伝導ICT研究室
Beyond 5G研究開発推進ユニットテラヘルツ連携研究センター
テラヘルツ連携研究室

概要

私たちが独自に開発した磁性体を用いた超伝導ホットエレクトロンボロメータ (Ni-HEB)は、2THzでのミキサ素子として世界トップレベルの極低雑音動作と広IF帯域特性(大容量・高速応答)を示し、未開拓周波数領域であるテラヘルツ周波数領域の利活用に資する技術と考えています。更に同検出器は、中赤外光領域まで動作可能であり、既に60THz帯の中赤外光におけるミキサ動作、中赤外光子に対応したパルス出力を検出しています。

Ni-HEBは、1~100THzの周波数領域における高度・高速電磁波検出器を実現する技術で、地球環境計測、情報通信、セキュリティ応用などに有望であると考えています。


2THz帯導波管型Ni-HEBの顕微鏡写真 中赤外光子検出用Ni-HEBの顕微鏡写真 中赤外(MIR)照射によるNi-HEBのパルス応答

提供内容・活用

テラヘルツ周波数領域は、無線通信技術の更なる高速・大容量化に有望な領域です。また、数多くの分子吸収帯があり、大気汚染計測など地球環境センシング、電波天文、更には爆発物検知などセキュリティ技術に有効な周波数領域でもあります。本技術が実現するヘテロダイン分光検出による高い周波数分解能は、これら技術の高度化に資するものと考えています。

本技術に関心のある企業や団体との共同研究を希望します。

2THz帯導波管型Ni-HEBの顕微鏡写真 中赤外光子検出用Ni-HEBの顕微鏡写真 中赤外(MIR)照射によるNi-HEBのパルス応答

関連情報

文献:A. Kawakami, J. Horikawa, H. Shimakage, S. Saito, S. Tanaka, “Examination of Mid infrared Photon Detection by Hot Electron Bolometer with Twin Slot Antenna,” IEEE Trans. Appl. Supercond. vol 33, issue 5, Aug. 2023, Art no. 2300104.

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